30数年前の初めての体験。リーバイス501初購入、イエローアーキュエイトのBIGEでした。穿くと片方のアウトシームが捻じれて裾部分が前面に!その時に思いました… 『こりゃあ不良品じゃ…(山口訛り)』
今なら笑い話ですが、その時は本気で不良品だと思ってガッカリした思い出があります。学生時代ですから、相当奮発して購入した訳で… バナナボートへ返品しに行こうかと思いました。笑
このブログを読んでくださっている方は、アメカジの知識はあるはずなので、今更アウトシームが片方捻じれる事に何の違和感も持たれないと思いますが、世の中の大多数の方は捻じれ防止加工をしていないジーンズを穿いたらビックリするはずです。

リーバイスとリーは、綾目が逆なので捻じれも逆になる
綾織で織られた生地は、デニムに限らず綾目の走る向きに捻じれる性質があるから… なんて言ったって、恐らくクレーマーならば『販売する際に言わなかったのが悪い』で返品の憂き目にあう可能性が高いです。(色落ちに関するクレームはもっと深刻で、一緒に洗濯した服にブルーが色移りなんかしたら、PL法絡みで結構もめる可能性があります…)
我々ジーンズフリークにとって、アウトシーム片方の捻じれは、ミミのアタリと一緒にジーンズの味として捉えられてますが、ジーンズが発明されてからずっと長い間、不良品扱いされていたのは想像できるところです。

シンチバックは切断されているヴィンテージは多い
股部のリベットは焚火の熱でやけどの原因になる、シンチバックは椅子を傷つける、革パッチは縮む、紙パッチは破れる。これらは改善されて現在に至るのですが、これがまたヴィンテージフリークのツボになっています。
レッドウィングのブーツにも、『茶芯』というブーツフリークが喜ぶ特徴があります。簡単に言えば革の染色不良です。茶芯のブーツとは、履き込んでいくうちに黒色の塗膜が擦れて薄くなってきた時に茶色い革の地の色が露出した状態になったブーツを云います。
当初は、当然に不良品だと云われてましたが、いつからか『黒と茶色のグラデーションがカッコいい!』と云われるようになり、不良品が一躍もてはやされる事となった訳です。ANSI規格 PT91(Protective Toe)エンジニアブーツ2268は、茶芯モノと黒モノの両方が存在しますが、デッドストックの状態では判別が困難なようです。
現在製造される身の回り品は、不良品だと認識されたと同時に回収、製造中止となってしまいます。世が世なら、綾織の生地でジーンズは製造されなかったかもしれないし、捻じれた不良品を回収した後で、捻じれ防止加工ジーンズだけが流通してたかもしれません。世が世なら、そもそも色落ち激しいデニム生地が流通する事も無かったでしょう。

茶芯は一番擦れる履き口に現れやすい

内側も擦れるので茶芯が現れやすい
世が世なら、擦れたら地の色が出てしまうような革だって、即刻回収の憂き目にあったに違いありません。
後世に引き継げたなら、きっと歴史を作っていたかもしれないだろう不良品が、陽の目を見ないで消え去ってゆく… 残念だけど世が世なんで仕方のない事なんでしょうね、きっと…
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